2024年問題の次は「2025年の崖」TOPICS

2024年10月22日

2025年の崖とは?

働き方改革に端を発する2024年問題は、バス路線の廃止や減便などで我々の生活に影響を及ぼし始めていますが、来年に向けては「2025年の崖」という問題もあります。

そもそも「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」で登場した言葉です。

現在は、あらゆる業種で新たなデジタル技術を活用したビジネスの創出・推進が求められているものの、過剰なカスタマイズによりブラックボックス化した既存システムを使用している企業も多くあります。そこで、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進し、既存システムが抱える問題を解決していかなければなりませんが、現場サイドの抵抗も大きく、いかにDXを推進するかという点が課題となっています。

DXレポートでは、課題が解決されない場合、DXの推進が滞ってデジタル競争の敗者になる可能性がある上、2025年以降には、既存システム残存に伴う経済損失が、最大で年間12兆円にまで拡大する可能性があると指摘しており、これを「2025年の崖」と呼んでいます。DXを推進する上で顕在化している諸課題には以下のようなものがあります。

 

DX推進上の3つの課題

まず①「既存システムのレガシーシステム化」です。レガシーシステムとは過去の技術や仕組みで構築され、複雑化・ブラックボックス化している基幹系システムをいいます。これを放置すると、データを利活用出来ずに柔軟にビジネスモデルを変更することが困難になったり、ブラックボックス化により保守・運用が属人的で継承が困難になる場合があります。

また、それ以前の問題として、日常的に利用出来ている間はレガシーであることを自覚できていないという認識の問題も大きな課題です。もっとも、「DXレポート2」(2020年発表)においては、「『DX=レガシーシステムの刷新』という誤解は払拭しなければならない」と指摘している通り、DXの推進から享受できるメリットに目を向けなければ、レガシーシステムからの脱却は難しいと言えるでしょう。

次に②「基幹システムの更新とサポートの終了」が挙げられます。多くの企業では、基幹システムの更新をDXと捉える傾向が強いですが、昨今は基幹システムの更新自体も悩ましい問題となっています。我が国の企業において多く採用されているERP(企業資源計画)システムであるSAP ERP(ドイツのSAP社が提供しているERPシステム)においては、現行バージョンのサポートが2025年末をもって停止されるとの発表で騒動となりましたが、その後2年延長されたことで、SAPについては「2027年問題」となりました。

更に③「IT人材不足」も大きな課題です。IT業界の人手不足は深刻で、経済産業省によれば、IT人材の不足は2030年には約79万人まで拡大すると予測されています。特にDXの推進に関連して問題となっているのは、前述のレガシーシステムの維持・管理に必要以上の費用と人材が投入され、DXの推進に必要な人材を充てられていない点です。また、2025年を過ぎる頃には古いプログラミング言語に詳しい人材を供給出来なくなるとの指摘も聞かれます。

 

人材確保が喫緊の課題

中小企業においてDXが進まない理由として「DXを統括・推進する人材の不足」が挙げられています。上記の諸課題も結局のところ根源には人手不足があると言えそうです。IT人材は一朝一夕に育成できない一方、AIやビッグデータの解析に対応できる人材の確保は喫緊の課題となっています。

2024年問題と同様、「2025年の崖」問題も究極的には人手不足が要因ということのようです。

(ZBLV)

 

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